フェルディナン・ヴィクトール・ウジェーヌ・ドラクロワ

2019-11-14

意志と自由を導く、ドラマティックな美の破壊者

民衆を導く自由の女神

フェルディナン・ヴィクトール・ウジェーヌ・ドラクロワ(1798年4月26日 ~1863年8月13日)はフランスの画家。

人間の感情を描くことが禁忌とされていた時代において、彼は人の心を描いた「美の破壊者」だ。

固い言い方で言えば「古典主義者ばかりで、孤立無援な状態でもロマン主義的な考えで描き続けた画家」の一人だと言えよう。

非難されてもなお、彼は自分の意志と情熱に従って、多くの人々の自由な心感動的な心を奮い立たせる絵画を描き続けた。

代表的な作品

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目次

  • 有名外交官の父を持ち、世論に関心のある画家
  • 彼の師、情熱と意志の画家ジェリコー
  • 「絵画の虐殺者」は、自由と志を導く
  • 祖国を自由へと導く、激動の画家ドラクロワ

有名外交官の父を持ち、世論に関心のある画家

フランスのシャラントンに生まれた。
また、父はタレーランであるという説が有力である。
タレーランは、田舎者だったナポレオンを皇帝にさせた名外交官だ。
その父を持つためか、彼は人一倍、政治などに対して感心を持っており、
歴史や、文学、神話などをテーマとしたドラマティックかつ、風刺的な作品を数多く描いている。

「道理をわきまえた絵画は好まない。」

彼の日記で書かれたこの言葉こそ、彼の絵を示す言葉だろう。

そして、当時数多くの「問題作」を生み出し、人々の心を大きく揺さぶった光と色彩の情熱家だ。

彼の師、情熱と意志の画家ジェリコー

また影響を受けた画家は、フランスロマン主義の画家テオドール・ジェリコーだと言われている。

テオドール・ジェリコーの代表作「メデューズ号の筏」という作品を挙げよう

メデューズ号の筏   テオドール・ジェリコー

この絵は、当時のフランスで社会的に有名になった作品だ。

実際に起こったことで、モーリタニア沖でメデューズ号が座標した事件を題材にしている。飢餓から人を食べざるを得ない状況になっていた様子を描いている。

この作品は展覧会で多くの称賛と非難が浴びせられた。

そして、なによりこの絵は依頼されたからではなく、彼の意志で徹底的な取材を元にして描かれた作品であるのだ。

そして、この作品でドラクロアは自らモデルを務めていたとも言われている。

彼は、このようなテオドール・ジェリコーの意志に感銘した。

情熱の為に、描く。

それをジェリコーから受け継いだのが、ドラクロワなのである。

「絵画の虐殺者」は、自由と志を導く

彼は、自分の意志で自分の情熱を描いた。そして、自らの描きたいものの為に波乱な人生を選択し、時には非難される絵画を描いたのだ。

多く非難された代表作ともいえるのが、「キオス島の虐殺」である

キオス島の虐殺

当時、ギリシアはオスマン帝国の統治下にあった。この作品は、ギリシアの独立派を抑える為に、トルコ軍が辱しめや暴行なども含めた虐殺をしていた事件を描いたものである。

ギリシアは、当時の芸術家にとって本当に神聖な神々の歴史が眠る場所だ。彼はイギリスの詩人バイロンの作品を愛しており、彼は「アテナの女神は泣いている。アテナの女神のものは、アテナに返せ 」と謳い、ギリシアの義勇軍に参加している。

その為、ドラクロアも、ギリシアの自由を求め、またバイロンの想いにこたえ、この絵画を描いたのだ。

当時は古典派といい、「人間の怒りや、哀しみを絵画に描く事は間違っている」とされている時代だった。

そして、芸術を描くという考えにおいてこの作品はあまりにも、暗く、凄惨で現実的な雰囲気をしている。

こういった作品は、その時代の常識的に考えて「異常」としか言えない行為だった。

その時代に描かれた深い憤りと悲しみの籠った作品は、「絵画の虐殺だ」、「ドラクロワはパリを焼き尽くす男だなどと散々な批判を浴びた。

しかし、その批判を浴びたとしても、彼はこの作品を描きたかったのだ。

そして、映像や写真などでの報道がなされない時代において、この凄惨な絵はヨーロッパの人々にとって衝撃を与えた。

この絵も、ギリシア独立についての関心の引き金の一つなのだ。

祖国を自由へと導く、激動の画家

民衆を導く自由の女神

「私は祖国のために、戦って、勝利を得たわけではない。

しかし、少なくとも、支持の表明として、絵を描くことができる」

ジェリコーの意志を継ぎ、情熱や意志を絵画という形で表現したその絵は、まるで人を鼓舞する凱歌のようだ。

メッセージ性のある絵画を描き、その絵が人の心を動かし、行動へとつなげ、自由へと導いていく。

当時、キオス島の虐殺を見て批判をした画家たちのほとんどは考えもしなかっただろう。

しかし、7月革命と言えば、この作品だと多くの人が言う。それぐらいこの作品は7月革命に影響を与えたのだ。

神聖な絵画でなく、これは現実をドラマティックに描いた絵画だ。彼の描く絵画からは、メッセージが、ドラマが、ありありと伝わってくる。

彼は、彼の意志と自由に従い続けた。戦い続けた。どれだけ世界に非難されようとも、彼は描きたい心を描ききった。

そして、この絵は、その屈しない意志によって描かれた絵だ。